1on1ミーティングを導入したものの「雑談で終わってしまう」「何を話せばいいかわからない」「やっているのに部下との関係が変わらない」——こうした悩みを持つマネージャーは多い。本記事では、1on1を機能させるための具体的な進め方と、部下から本音を引き出す質問集を紹介する。
1on1ミーティングとは何か・何のために行うのか
1on1(ワンオンワン)ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う定期的な個人面談のことだ。チーム全体のミーティングとは異なり、部下一人ひとりの状況・課題・成長を個別に確認・支援することが目的とされている。
1on1が普及したのは、Googleの人材研究プロジェクト「Project Oxygen」の影響が大きいという話がある。そのプロジェクトでは、優れたマネージャーの特徴として「1対1のミーティングをもとに部下と信頼関係を築く」ことが挙げられているとされている。
単なる業務進捗確認の場ではなく、「部下が安心して本音を話せる場」として機能させることが重要だとされている。
1on1の基本設計
頻度と時間
- 頻度:週1回〜隔週1回が効果的とされている。月1回では間隔が空きすぎて課題が積み上がりやすい。
- 時間:30〜60分。最初は30分から始め、話すことが増えてきたら延ばす。
- 固定枠:毎週同じ曜日・同じ時間に設定することで、部下が「この時間に話せる」という安心感を持てる。
アジェンダ
原則として部下がアジェンダを持ち込む設計にすることが推奨されている。上司が話題を決めると「報告の場」になりやすく、部下が主体的に準備する設計にすることで「自分の時間」として機能しやすくなるとされている。
1on1の進め方・時間配分の目安
以下は30分の1on1の時間配分例だ:
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0〜5分 | アイスブレイク・近況確認 |
| 5〜20分 | 部下が持ち込んだアジェンダの議論(課題・困り事・相談) |
| 20〜25分 | 成長・キャリアに関する話 |
| 25〜30分 | 上司からのフィードバック・ネクストアクション確認 |
重要なのは、「業務進捗報告」に時間を使いすぎないことだ。進捗確認はSlackやタスクツールでもできる。1on1の価値は「部下が安心して話せる場」にある。
本音を引き出す質問集
状況確認の質問
「今週(今月)、一番うまくいったことは何ですか?」
まずポジティブな話から始めることで、話しやすい雰囲気を作る。
「今、一番頭を使っている課題は何ですか?」
業務の困り事を引き出すための基本質問。「困っていることはありますか」よりも「頭を使っていること」と聞く方が、プレッシャーなく話しやすいとされている。
「今の仕事で、自分だけでは解決できないと感じていることはありますか?」
ブロッカーを引き出す質問。「困っていますか」ではなく「解決できないことはありますか」という表現が、弱みを見せることへの抵抗感を下げるとされている。
感情・モチベーションを確認する質問
「今の仕事で、モチベーションが上がる瞬間はどんなときですか?」
「逆に、エネルギーが消耗すると感じるのはどんな場面ですか?」
この2つはセットで聞くと、何が動機になっているかと何がストレスになっているかを同時に把握できる。
成長・キャリアに関する質問
「半年後・1年後にどんなスキルを身につけていたいですか?」
短期的なキャリアの方向性を確認する質問。「将来の夢は何ですか」のような大きすぎる質問よりも、具体的な時間軸で聞く方が答えやすいとされている。
「今の仕事で、もっと挑戦したいと感じている領域はありますか?」
ストレッチアサインメントの機会を探るための質問。
信頼関係・上司へのフィードバックを引き出す質問
「私(上司)がもっとこうしてくれたら助かる、と感じることはありますか?」
部下から上司へのフィードバックを引き出す質問。継続的に聞き続けることが重要とされている。
「今の1on1で話せていないけど、本当は話したいことはありますか?」
アジェンダにない本音を引き出すための最後の問いかけ。意外なことが出てくることが多いとされている。
上司が陥りやすいNG行動
NG①:アドバイスをしすぎる
部下が「〇〇で困っています」と言った瞬間に「じゃあ△△すればいい」と即答してしまう上司が多い。まずは「それについてどう思っていますか」「自分なりに考えている解決策はありますか」と返し、部下自身の考えを引き出す方が育成効果が高いとされている。
NG②:進捗確認が中心になる
「Aの件はどうなってる?」という質問が続くと、部下には「管理されている」という印象を与えやすい。進捗確認はSlack・日報などで行い、1on1は「部下のための時間」として設計することが重要だとされている。
NG③:スマートフォン・PCを見ながら聞く
画面を見ながら1on1をする上司は、部下に「聞いてもらえていない」と感じさせる可能性がある。1on1の時間は画面を閉じ、部下に向き合うことが基本とされている。
NG④:毎回同じ質問だけになる
「調子はどうですか」「困っていることはありますか」だけを繰り返すと、会話がマンネリ化しやすい。本記事の質問集を参考に、カテゴリを変えながら聞き方を工夫することが推奨されている。
1on1を記録する重要性
1on1で話した内容をメモとして残し、翌週の1on1の冒頭で振り返ることで、「ちゃんと聞いてもらえている」「フォローしてもらえている」という信頼感が積み上がるとされている。Notionや共有ドキュメントで「1on1ノート」を作り、部下と上司の両方が書き込める設計にしている組織もあるという話がある。
まとめ
1on1の効果を高める鍵は「進捗確認の場ではなく、部下が主役の場」として設計することにある。質問集を活用しながら、まずは「今週うまくいったことは何ですか」「今一番頭を使っていることは何ですか」の2問から始めてほしい。繰り返すことで部下との信頼関係が積み上がり、本音が出やすい環境が育っていく。
